Earth - Hibernaculum [2007]

Hibernaculum (W/Dvd)

かつてドゥーム/ドローン界の重要バンドとして暗躍していた生ける伝説 Earth。最近来日ツアーを果たしたSunn O)))がリスペクトしてやまないというから、その存在の大きさは推して量れるものであろう。
そんなEarthが今年リリースしたCD+DVD、総トラック数5曲という今作。その収録曲の殆どが過去の曲の再録もので、新曲と呼べるものはCDのラストを占める大曲"A Plague of Angels"のみである。*13曲目の"Miami Morning Coming Down"だけである．
冒頭において「かつて」という表現を用いたのは、近年においてこのEarthというバンドの出す音が暗黒ドゥーム/ドローンとは言えぬ程に、あからさまに変化しているからである。彼らの音楽性は、暗く鬱々としたそれまでのスタイルとは打って変わり、クリアな音像を以ってして雄大な大地を思わせる力強さを持つインストゥルメンタルロックへとシフトしていったのだ。一種のターニングポイントとして2005年に発表された作品"Hex: Or Printing in the Infernal Method"でもう一つのバンドの形を提示した彼らが、2006年のSunn O)))とのスプリット盤を経て、現在のバンドの形を映し出したのがまさに今作である。
今作は、彼ら自身がルーツとなる自らの曲を新しい手法で再録したという点で、今までの作品とは違った位置付けになることだろう。しかしながら"Hex: ..."のスタイルをより柔和で美しい方向へ突き進めた印象さえ持つ作品であるだけに、彼らの「現在」を垣間見る重要なポイントであることは確かである。
Earthの"Hex: ..."アルバムで感動した人、Sunn O)))の来日公演でやドゥーム/ドローン系の音楽に興味を持った人、或いはポストロック、アンビエントミュージックにただならぬ魅力を感じる人であれば、決して無視の出来ない作品である。
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*1:追記：Sunnとのスプリットに入ってました