Sequence Pulse - Play Both Ends Against the Middle [2007]

Play both ends against the middle

Play both ends against the middle

日本のインストゥルメンタル・ポストロックバンド Sequence Pulse(シークエンス・パルス)の3rdフルレングスアルバム。
基本的に目の前には明るく暖かい風景が広がっており、秩序の保たれた美しさを湛える作品である。ストーリーを紡ぐダイナミックなリズム感溢れるバンドサウンドが、人間の温かみを直に伝えてくれる。時に優しく撫でるように、時に力強く押すように。こんなに安心して聴けるのも、人の存在を間近で感じられる所為からかもしれない。
曲名から想像できる世界がそこには忠実に再現されており、忠実に再現されたそれは違う事無く自分自身の創造物である。音を聴く事で頭の中に自分なりの風景が細かな描写にわたるまで構築されるということから、インストの音楽なので矛盾することは否めないが、ある意味で文学的であるとも取れると感じた。言ってしまえば、それはさながら、言葉の無い、聴く物語である。
ゲストヴォーカリストとしてシアトルの女性シンガーJEN WOOD、COMEBACK MY DAUGHTERSの高本氏が参加している。インスト主体のアルバムの中で彼らの綴る言葉は一際大きな意味を持つものに聞こえて胸を打ち、込み上げてくるものがある。特にJEN WOODのウィスパーヴォイスは必聴。泣ける。
色の違う13曲が肩を張りすぎずにそれぞれ主張するため、大き目なボリュームであるにも関わらず飽きる事無く聴き通すことができる。
リラックスして全ての体の自由を委ねてしまいたい。

official
label("Hush", "Play Both Ends Against the Middle" 試聴可)
"Hush"の美しさは異常です。