Saosin - Saosin

Saosin

Saosin

US・カリフォルニア出身のエモロックバンドの1stアルバム。
現Circa SurviveのAnthony Greenが所属していた頃に出したEP"Translating the Name"が国内外で人気を博し、ここ日本にも飛び火してスクリーモ界の話題を掻っ攫っていったのはつい数年前の話。Anthonyが脱退し、新しいヴォーカルを加えてリリースされたセルフタイトルを冠したEPでは、各所で疑問の声は上がるもそのメロディーセンスに衰えは見えず、シャウトを排した美しいロックを聴かせてくれた。そんな彼らが満を持して発表した今作は、まさに「待望の」という言葉に相応しいものである。
"Translating ..."の頃と比べて目に見えて違うのはやはりヴォーカルだろうか。Anthonyが柔らかい歌声とシャウトを巧みに使い分ける歌唱法なのに対し、後任のCove Reberは専ら「歌」を強調するような表現力豊かな歌い方である。両者に優劣を付けるのは個人の好みの問題であるが、自分としてはどちらも好みだし、どちらを欠いてもSaosinでは無い。演奏面では重厚でメタリックなのは共通しているが、今作は特に、ザクザクとしたスクリーモ的な激しさのようなものよりは、豊かなメロディや曲自体の構成美がそれを圧倒している風に思える。ゆえに聴き終わった後の印象は綺麗だった・・・といった感じだった。まあCoveのヴォーカルがそう思わせているだけかもしれないけど。
1曲目からぐいぐい引き込まれてそのままのテンションで2曲目に続くあたり、これはヤバイと思っていたが、途中で飽きを起こさせることも無く終盤まで興奮しっぱなしであった。アルバムを通して良質の曲が多く、期待以上の出来である。