Anoice - Out of Season [2008] / Ruined-Hotel Sessions [2008]

OUT OF SEASON

OUT OF SEASON

以前ここでも1stアルバムについてさらりと触れた東京のAnoice.あれからめっきり情報を得ていなかったのだけど,どうやら2ndアルバムをリリースしていた模様.えらいこっちゃ.
しかもどうやらリリース元のRicco Labelで3枚CDを購入すると"Ruined-Hotel Sessions"というCD-Rが無料でついてくるらしい.えらいこっちゃえらいこっちゃ.
Anoiceといえばヴァイオリンとピアノをフューチャーしたインストポストロック的なことをしていて,同じくヴァイオリンを使ったKayo Dotなんかと比べるとさほどアヴァンなギャルドではなく,Monoみたいな髪振り乱し絶頂盛り上がりを持っているわけでもなく(ピアノでそれっぽい所まではもってくる),最近のSigur Rósみたいに美しさをあざとく見せつけたりしない,強いていえばクラシックの要素を大いに強調したシューゲイズ/アンビエント系ミュージック...に近い...と思う.個人的にはWorld's End Girlfriendとの共通点なんかを見出してみたい.
1stアルバムを出したあとは路上や美術館,廃墟(?)なんかでも演奏活動をしていたみたいで,例の"Ruined-Hotel Sessions"もその一環でレコーディングされたものなのだろう(レーベル側としては3rdアルバム扱いっぽい;マイスペのコメントを参考にすると.).実際に音源から感じ取れるこの雰囲気は絵画的であり,文学的であり,幻想を対象に写実的であって,これら総じてアート的であると言える.パフォーマンスのフィールドとして美術館や廃墟を選ぶセンスはなかなか嫌いじゃない.
さてさて2ndアルバム.前作収録の"Liange"でマジ泣きさせられた身としては,今回こそ断固として泣かない姿勢を貫きたいものであったけれど,なんかもうムリでした.お酒飲んでるからかもしれないけどもう2曲目でムリでした.うーん早い.マッコリうめえ.以前にも増したスペーシーな音作りに加えて,"Id"なんかだと中盤までふぉ〜んみたいな気持ちいいのか悪いのかわからない軽いドローンみたいな効果なんか入れてきて,トリップ感3割増.ん?なんだこれ...ああ,ヴァイオリンか,ふぁぁ気持ちええ,っていう.全体的に音が少ないためか,ヴァイオリンとピアノの旋律がかなり脳に効いてくる.プラス突然ドラムの音とか入ってくるとすごい何か出る(頭から).意外と日本にも,音でこういう世界を作れるバンドがいるんだなあと思って感動です.むしろ日本人だからこそ作れるのかもしれない.このアニメ帝国め."Short Film"は前作での"Liange"に相当するくらい揺さぶられました.
布団に入ればそこに睡眠という快楽あるように,本を開けば現実でない世界がいつでも待っているように,もし私が欲したとき,自然にそこにあってほしい音楽.即ち現実逃避用アンビエント音楽.日々疲れてる人のための消極的ハートマッサージャー.
でもなんだかな...あんまり人に勧めたくないんだよねこの類の音楽.なんだかね...なんだね,この複雑な気持ち.自分だけの秘密の花園的なアレかな?他人に汚されたくないみたいな.いや,でもね...まあ,超お勧めです.


あ,"Ruined..."について書いてないや!
Liange

Short Film

女性メンバーオンステージ,男性メンバー棒立チングなのがちょっとイイ.