KTL - KTL 2 [2007]

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Pelicanと共に来日公演をすることが決まっているKTL。Pelicanやenvyも楽しみだけど、怖いもの見たさでこちらも非常に気になっている。
KTLとはSunn O)))などで知られるStephen O'MalleyとPitaことPeter Rehbergのユニットである。ギターとラップトップそれぞれの異色なノイズが競演する極端の音楽(あくまでフォーマットとしての)は実に先鋭的。
僕が彼らを知ったのはStephen O'Malleyの活動の幅の広さが原因で、彼の携わる作品を追っていくと当然のように到達することになったのがKTLである。近年見られるようになったSunn O)))の異常な人気や来日もあり、最近のこの界隈は妙な雰囲気に包まれている。
そもそもKTLとは"Kindertotenlieder(キンダートーテンリーダー)"のこと。クラシック音楽の知識があれば、これがマーラーの歌曲集「泣き子をしのぶ歌」の事であるとわかる人もいるだろう。このKTLというユニットは、Gisele VienneとDennis Cooperによる同名の舞台作品のサウンドトラックを手がける際に発足したものなのである。この舞台作品に関しては全く知らなかったが、KTLの暗黒美が映えるような作品であったに違いない。
アルバムは27分、21分という長尺の2曲を10分台の曲が挟むという計4曲から構成されており、その山場は曲の中で様々な表情を見せてくれる中盤の2曲か。これらの曲は例えるならば、角度によってモナ・リザがいろんな顔に見えるとか、聴き手にそういう能動的な意識の持ち方を促すようなタイプである。見方によっては手首とか見て勃起しちゃう人もいるじゃない。うん。僕はこの音じゃ勃起できませんでしたが。
端的に音を表現してしまえば、コンピューターミュージックのノイズが、残響音をアンプを通じて吐きまくるギターが、共に戯れるのである。Sunn O)))のようにひたすら重く響くというよりは、低い部分と高い部分をゆっくりを行き来しているような感じで。おそらくその辺りの自由さというか、フットワークの軽さ・・・いや重さが、コンピューターミュージックと邂逅したブラックメタルなんだなと勝手に解釈。
いやー、これはぜひ舞台の上だけでなく日々の生活のサウンドトラックにどうぞ。車の中で聴いていたら頭がフラフラして事故りそうになっただとか、聴き始めたら知り合いに避けられ始めたとか、親に泣かれたなどといった苦情は受け付けませんが。
あっ、フランスの屠殺場の址であった場所で録音したという話も、・・・。
日々のサウンドトラックにどうぞ。